「宿題やったの?」「早くしなさい」。つい口にしてしまうけれど、子どもはなかなか動いてくれない。そんな経験はありませんか?
私は小学生向けの学習塾で約5年間、講師として子どもたちと向き合ってきました。その中で実感したのは、同じ問題でも、かける言葉ひとつで子どもの表情や取り組み方が大きく変わるということです。
この記事では、私が教室で実際に使っていた声かけを4つ紹介します。どれも、家庭ですぐに取り入れられるものばかりです。
声かけ① 勉強の前に、何気ない話題でその子の様子を知る
教室に来た子どもに、私がまずしていたのは、いきなり勉強の話をすることではありません。その子の持ち物に興味を持って話しかけたり、今日はどんな様子かをそれとなく声をかけたりすることです。
たとえば、新しい筆箱やお気に入りのキャラクターの文房具を見つけたら「それ、いいね」と話題にしてみる。表情がいつもと違えば「今日はどうだった?」と軽く聞いてみる。こうした何気ない会話から、その子が元気なのか、疲れているのか、何か気になることがあるのかが、自然と見えてきます。
子どもの状態がわかっていると、そのあとの声かけも変わります。ご家庭でも、「宿題やったの?」の前に、まずは学校の話や好きなものの話から始めてみてください。
声かけ② 「できたー!」と一緒に声に出して喜ぶ
子どもが問題を解けたとき、私がいつもしていたのは、「できたー!」と子どもと一緒に声に出して喜ぶことです。
「すごいね」とほめるだけでなく、大人も一緒になって喜ぶ。そうすると、子どもの「できた」という気持ちが何倍にも大きくなります。この喜びが、次の問題に向かう原動力になっていきます。
ご家庭でも、宿題の一問が解けたとき、テストで前より点が上がったとき、ぜひ一緒に「できたね!」と喜んであげてください。結果の大きさは関係ありません。小さな「できた」を一緒に味わうことが大切です。
声かけ③ 「よし、一緒に問題を考えて解こう」
問題が解けなかったり、間違えてしまったりしたとき。子どもは「できなかった」と落ち込んだり、やる気をなくしたりしがちです。
そんなとき私がかけていたのが、「よし、一緒に問題を考えて解こう」という言葉です。
ポイントは「一緒に」という言葉です。間違いを責めるのではなく、隣に座って同じ問題に向き合う。それだけで、子どもは「一人じゃない」と安心して、もう一度問題に向かうことができます。
ただし、答えをそのまま教えてしまうのではなく、解き方のヒントを伝えて、最後は子ども自身が気づけるようにすることが大切です。自分で解けたときには、声かけ②の「できたー!」につなげてあげてください。
声かけ④ 取りかからないときは、まず「理由」を聞く
宿題をやってこなかった子や、なかなか問題に取りかかれない子。つい「早くやりなさい」と言いたくなりますが、私はまず「なぜやらなかったのか」「なぜ取りかかれないのか」、理由を聞くようにしていました。
理由を聞いてみると、子どもなりの事情が見えてきます。問題の意味がわからなかった、どこから手をつければいいかわからなかった、ほかのことで疲れていた。理由がわかれば、かけるべき言葉や手助けの仕方も自然と見えてきます。
たとえば「どうして手が止まっているの?」「どこがむずかしそう?」と、責めるのではなく、気持ちを聞くように問いかけてみてください。
気をつけたい声かけ:理由を知らないまま焦らせる
反対に、子どものやる気を下げてしまうと感じたのが、なぜできないのか理由を知らないまま、焦らせてしまう声かけです。「早くしなさい」「なんでこんな問題ができないの」といった言葉は、子どもを焦らせるだけで、つまずきの解決にはつながりません。
伸びる子に共通する学ぶ習慣については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→ 元塾講師が見てきた「伸びる子」の共通点|小学3年生までに身につけたい3つの学ぶ習慣
子どもの話に出てくる「お父さん」
塾で子どもたちと話していると、ご家庭の様子が自然と伝わってくることがあります。印象的だったのが、「お父さん」の話題です。
ふだんからお父さんと会話をしている子は、「お父さんがね〜」と、楽しそうにお父さんの話をしてくれます。一方で、お父さんとの会話があまりない子からは、「お父さんに怒られる」といった言葉が出てきて、お父さんと関わることを避けているように感じることがありました。
勉強を教えることだけが関わりではありません。その日の出来事を聞いたり、できたことを一緒に喜んだり。ふだんの何気ない会話の積み重ねが、子どもにとって「話したい」「見てほしい」と思える関係をつくるのだと思います。お母さんだけでなく、お父さんもぜひ、今日あったことを子どもに聞いてみてください。
まとめ:場面別の声かけ
- 勉強の前に:持ち物や学校の話など、何気ない会話で様子を知る
- できたとき:「できたー!」と一緒に声に出して喜ぶ
- わからない・間違えたとき:「よし、一緒に問題を考えて解こう」
- 取りかからないとき:まず「どうしたの?」と理由を聞く
- ふだんから:お父さんもお母さんも、何気ない会話を大切に
声かけは、特別な言葉でなくて大丈夫です。今日、お子さんが何か一つできたときに、「できたね!」と一緒に喜んでみてください。その一言が、子どものやる気を育てる第一歩になります。
※この記事の内容は、運営者が学習塾の講師として子どもたちと関わってきた経験にもとづくものです。お子さんの性格や成長のペースには個人差があります。

